ニューヨークの地下鉄のさらに下で暮らす親子 ホームレス問題を子どもの視点から描く〈AERA〉(AERA dot.)

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ニューヨークの地下鉄のさらに下で暮らす親子 ホームレス問題を子どもの視点から描く〈AERA〉(AERA dot.)
ニューヨークの地下鉄のさらに下のトンネルで暮らす5歳のリトルと母親ニッキー。
[紹介元] AERA dot. – Yahoo!ニュース ニューヨークの地下鉄のさらに下で暮らす親子 ホームレス問題を子どもの視点から描く〈AERA〉(AERA dot.)

ニューヨークの地下鉄のさらに下で暮らす親子 ホームレス問題を子どもの視点から描くAERA AERA

そして、あなたの最初の質問にありましたけど、ええ、私は初めて地下に降りたとき、不法侵入で逮捕されましたよ! でも、判事の前で、『ホームレスに関するプロジェクトの映画を作りたいからだ』と訴えたら、赦されました」

──『きっと地上には満天の星』は1980年代から90年代のニューヨークの地下に、かつて暮らしていた人たちに思いを馳せて作られた作品だと思います。ジュリアーノ市長による浄化作戦で地下で暮らす人々は消えてしまいましたが、あなたたちが埋もれてしまった声や営みに耳を澄ませ、リサーチをし、考古学的なアプローチで、ゼロから形にしていったのではないかと思うのですが。

でも、地下では自由に生活の場が設計できます。自分のやり方でコミュニティが作れることが魅力的だった人もいるかと思います。中には生まれたときからホームレスのコミュニティで育ってきた人がいて、地上ではかなわないけれど、地下では自分たちでコミュニティを作れたという背景もありました。

セリーヌ「その通りです。教育格差の問題はアメリカでは深刻になっています。公立の教育のレベルが学校によって左右されて、全国的に統一されていないんです。寄付金によってうまく運営されている学校もあれば、支援が行き届いていない学校もあります。裕福な家庭が多い地域は教育レベルが高く、一方、今回、私たちがリサーチする中で取材したのは、学校の周りにホームレスのシェルターが3つあるというエリアでした。

なんなら、都会で孤独に放置されている子供よりも、温かい愛情を掛けられている瞬間もある。先程、話に出たグラフィックアーティストのジョンはリトルが引き算出来ないことに気づき、母親であるニッキーに教育の大切さを訴える場面もありますが、それはお二人が教育の場が与えられていないホームレスの子どもの現状をご覧になって作った場面ですか?

1990年代、ニューヨークの地下生活者の暮らしぶりをリサーチしたルポルタージュ、ジェニファー・トスの著書『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』から発想を得て、作られた作品。第 77 回ヴェネチア国際映画祭国際批評家週間出品、マリオ・セランドレイアワード最優秀技術貢献賞受賞、第27回 SXSW映画祭審査員特別賞受賞、第13回 PAGE 国際脚本賞 最優秀ドラマ脚本賞受賞など高い評価を得ている。

在籍生徒の70%のお子さんがホームレスという構成の学校です。そこで流れている家族間の感情は暖かくて、愛に満ちている。でも、基本的に学校の運営費が足りていなくて、学校での備品がそもそも足りていなくて、教育がいびつになっていたり、昼代が払えない子どもいて、ショックでした。アメリカに限らず、国が最も大切にすべきものは子どもたちであるべきなのに、彼らの面倒をしっかりと見ることが出来なくて、周囲の大人たちが疲れてしまっている。

セリーヌ「あなたが考古学的なアプローチと言ってくれたけど、この映画の全ての登場人物たちは、私たちがリサーチの中で触れたものを合わせた人物になっています。私たちはこの長編の前に、ニューヨークの50人以上のホームレスにインタビューした『50 Moments』という短い作品と、ファミリー用のシェルターで暮らすニューヨークの3家族が自立するまでを追ったドキュメンタリーの『Mornings』という作品を作っているんですが、その時のリサーチも役に立っているし、加えて、今現在ホームレスの人たちがどういう状況にいるのかを調べ、改めて得た要素とパズルのように構成しています。いずれにしても、かつてそこにいた、そこに在った人たちの状況や心理状態をなるべく正確に描くために努力をしました」

ニューヨーク大学の演劇コースで同級生だったセリーヌ・ヘルドとローガン・ジョージは、2015 年に共同監督&脚本家として活動をスタート。2017 年から『Mouse』『Caroline』『Lockdown』など短編映画を次々に発表。特に『Caroline』(2018)は、カンヌ国際映画祭で注目を浴び、アカデミー賞®短編実写映画賞の最終選考にも残った。本作で長編デビューを果たしたあと、ジョン・カーニーが手掛けるアンソロジー・テレビドラマシリーズ「モダン・ラブ」に呼ばれ、シーズン 2 第 5 話“本当の私は心理テストでわかるかも”(2021) の監督・脚本を担当。また、M・ナイト・シャマランがショーランナーを務めるドラマシリーズ「サーヴァントターナー家の子守」(2019-)に監督としてシーズン 3 より参加している。 その M・ナイト・シャマランをプロデューサーに迎えた長編映画 2 作目となるスリラー『The Vanishings at Caddo Lake』を現在制作中。

私たちの多くは地下の中にいると、暗闇の中で息を潜めて暮らしているんじゃないかと思う。地上の方がほっとする空間だと地上で生活している人は思っている。でも、ニッキーとリトルが地上に出てきて体験する風景を見ると、それは逆であると、二人の体験を通して知ることになる。この逆転した構造から、ホームとは、家とは何かをみなさんに考えて欲しかったんです」

ニューヨークの地下鉄のさらに下に広がる暗い迷宮のような空間で、ギリギリの生活を送るニッキーとリトルの母子。暗闇の中で互いに助け合うコミュニティがある中、不法居住者を排除しようとする市の政策が進み、コミュニティはやがて追い詰められることに……。

ニューヨークのトンネルで暮らしていた人々の生活はまだあまり知られていない。

私はニューヨーク大学の1年生だった2009年から10年にかけて、ロウアー・イースト・ サイドの非営利団体で幼稚園児の子守の仕事をしていまして、その時、この『モグラびと』を読んで、 幼稚園の子供たちと地下で暮らす子供たちの違いを実感しました。あと、映画を作るにあたって、美術での再現がとても重要な要素となっていて、マーガレット・モートン(アメリカの写真家・作家)の『The Tunnel: The Underground Homeless of New York City』と、テウン・ヴォーテン(オランダの写真家・ 文化人類学者)の『Tunnel People』が脚本を作る上でとても参考にした本です」

一方で、逆に『地下こそが私の場所なんだ』と思う人も存在しました。何ら煩雑な手続きなく、ここが私の場所と言える空間があって、家賃も払わなくていい。アメリカには、ホーレスが身を寄せることができるシェルターがあるんですが、施設への出入りの時間に制限があったり、門限が決められていたりする。

セリーヌ「あの場面は、実際にニューヨークの地下鉄の駅を借りて、3晩かけて撮影したものです。駅自体も、電車自体も普段通り稼働しているので、どういうことが起きるか、予想できない部分も多く、撮る前はとても怖かったのですが、私たちはニューヨーク大学で演劇を学んでいるときに出会っていて、これまでもプロの役者を雇うギャランティがないときは、自分たちでトレーニングして、演じてきたので、そういう体験を生かしました。実際にリトルを見失う演技は5回、撮影したんです。

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